映画『パラサイト』の感想&考察してみた。ネタバレあり!

出典:https://eiga.k-img.com/images/buzz

先日発表されたアカデミー賞では『ジョーカー』『1917 命をかけた伝令』『ストーリーオブマイライフ』など名だたる作品をおさえ、作品賞含む4冠を達成した『パラサイト』

公開から時間はたってますが、アカデミー賞を獲得したことでさらに人気が加速しているように思えます。で、僕も先日時間ができたのでさっそく観にいってきました!!

いつもはあまりネタバレを書かないんですが、今回の後半での考察場面ではネタバレ内容も含みつつ、がんばって考察していこうと思います。

というのもこの『パラサイト』、1回観ただけではなかなか理解するのが難しい(´A`)1つの物語として進んでいく中で、構図やカメラワーク、メタファーも多くて正直観終わった後は「疲れた…」としか思わなかったです笑

でも色んな解説を参考にして、少しずつ自分なりの解釈が生まれてきたのでその整理もかねて、また『パラサイト』を観た人にも参考になればと思って書いてみました!

あらすじではネタバレしませんので、未観賞の人もぜひ読んでみてください( ´ ▽ ` )ノ

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あらすじ

映画の中心人物となるのは貧困層のキム一家。無職である父ギテク、母のチュンスク、そして息子のギウに娘のギジョンという4人一家は内職をしながら薄汚れた“半地下”で何とか暮らしていた。

そんな中、ギウは金持ちの友人・ミニョクから留学する間、富豪家庭の娘であるダへの家庭教師を代わってほしいと頼まれる。大学生にはなれずフリーターだったとはいえ学力は高かったギウは、大学生であると身分を偽ってダへの家庭教師に無事就任する。

そこでギウはある”計画”を思いつく。それは家族であることを偽って、父・母・妹もこの富豪家庭・パク家に就職させて”寄生する”というものだった。

パク家はいかにもお嬢さんな、純粋でちょっとおバカな夫人とIT社長である主人、そして娘のダへに息子のダソンという4人からなり、そこに加えて専属運転手に家政婦が働いていた。

まずギジョンがダソンの美術の家庭教師として就職に成功すると、そこから作戦を立て罠をかけ、もともと働いていた人たちを追いやってギテクは専属運転手、チュンスクは家政婦に就職する。

順調に思えたギウの計画。パク一家がキャンプにでかけた夜、パク家にお邪魔して宴会を開くキム一家。しかし、元家政婦であったムングァンが「地下に忘れ物をしたのでとりにいきたい」と訪ねてきたその時から、”計画”は崩れ始める…

ここからは予測できない展開が押し寄せてきます!そして映画ジャンルとしても、前半はコメディタッチだったのが徐々にホラー寄りになっていき緊張感も高まります。

このあと触れるように、『パラサイト』は韓国の貧富の差ってものをこれでもかってくらいに映し出しています。そこには構図やカメラワーク、メタファーなど様々な技法が使われていて、アカデミー賞ではそういったところでかなりの高評価だったそうです。

でもストーリー自体かなり強烈で、シンプルに見入ってしまいました!感情移入できるわけではないんですが、特に後半は緊迫した展開が続き面白いです。あと普通に怖いです。アジアでは初となるアカデミー作品賞を受賞した映画ですので、ぜひ観てみることをおすすめします!

『パラサイト』の感想&考察

ここからはネタバレを含んだ内容になるので未鑑賞の人は注意してください!!

やはりこの映画の主題になっているのは「貧富の差」だと思います。あと、ギウが序盤でミニョクからもらった石や”計画”という言葉も映画の中でキーになっている気がします。

この映画にでてくる家族は全部で3つ。

高台に暮らす大富豪、パク家と半地下で暮らす貧困層、キム家。そして地下で暮らすさらに貧困層のムングァン・グンセの夫婦。前半ではパク家が一番貧しいように見えますが、後半のあの衝撃の展開により”半地下”よりさらに恵まれない”地下”にすむ家族の存在があらわになります。

その貧富の差を描くのに使われているのが構図、そしてカメラワークですね。

映画中ずっと続く、貧富を表現する構図

基本的に「貧困層は下、富豪層は上」という構図は崩れません。

まず住んでいる場所はパク家は高台で大雨の被害も受けない場所。対して、キム一家はパク家の場所からとにかく下に降り続けて、大雨によって浸水してしまう半地下の家に住んでいます。

また高低を表す道具として、階段がこの映画には何度も登場します。キム家や夫婦が階段をのぼる描写があるとき、何らかの決意や強い思いを持っているときが多いです。なぜなら自分には似合うはずがない上流階級の場に立たないといけないから。

そしてこの構図はどんなときでも忠実に守られてます。大雨の日、キャンプからパク家が戻ってきたときが顕著ですが、ダへが寝転がるベッドの下にはギウ、パク夫婦がいちゃつくソファ近くのテーブルの下にギジョン、ギテクが隠れてます。さらに下の地下にはムングァンとグンセ。

かつ、上流階級は”下”を見ません。

本人たちには悪気はなく、ただただ下の存在に気がつかない・関心がないんです。だからベッドの下やテーブルの下を見ず、隠れてるキム一家や散乱してるゴミに気付きません。

逆に、ダソンの誕生日パーティーのときにギウはダへの部屋からパーティーを見下ろして「俺はこの場に似合ってるかな?」とダへに問いかけます。ギウの場合、上にいても下を見てしまうんです。

この部分はダソンをつかって表されてもいます。

ダソンは”匂い”によって、家に仕えているパク家が家族であることに気付きそうな雰囲気を出してます。またグンセによるモールス信号にも気付いており、後半では「助けて」というメッセージも解読しています。

が、そこまでです。解読しても、何も言わないし何もしません。まあ子供なので仕方ないことではあります。グンセの姿も1度見てますが、幽霊だと勘違いしています。それもあの姿はかなり強烈なので仕方ない気がします。

しかし、この描写は結局はダソンにとっては地下の住人は幽霊のようなもの・存在しないのと同じようなものだということ示してるんじゃないかと感じます。ダソンは何も悪くありません。ただ生まれたときから上流階級で暮らしているだけです。でもそれこそが埋められない貧富の差を生み出しているんですね。

あと、カメラワークによる表現に関してはKENさんの考察「『パラサイト 半地下の家族』3つのポイントを意識すると3倍おもしろくなるネタバレ感想」がすごく詳しくて感動しました!『パラサイト』というタイトルへの考察なども面白いのでぜひ読んでみてください!

ぬぐえない差を表す”匂い”

上でも少し触れましたが、映画の中で重要になっているのが”匂い”、それも貧困層の匂いです。

ダソンはキム一家に共通するある匂いに気付いてますし、パク社長は「キム運転手の匂いは度を超してくる」と発言してます。最後にキムがパク社長を刺す直接の動機になったのも、グンセの匂いに鼻をつまむ仕草でした。

ギジョンが「私たちからただよってるのは半地下の匂いだ」と言っているように、この匂いは貧困層を象徴しているもの。簡単にはなくらなないものであることを示してます。

そして、あの大雨の夜にキムの心情に大きな変化が表れます。

自分たちよりさらに「下」の存在であるムングァン・グンセ夫婦に気付いたあとに、耳に入ってきたのがパク社長の「キム運転手の匂いがひどい」という言葉。

自分が「下」の存在に対して抱いた哀れみのような感情を抱き、そして自分も同じように哀れまれてる(かつ遠ざげられる)ことを知ります。染みついた”匂い”を通じて、です。

雇われているので当たり前ではありますが、パク一家に忠実に仕えてもパク社長たちはキムをいたわることはありません。ギウやギジョンは貧困層であることを隠して、優秀な家庭教師としてパク家に迎えられてるので丁重にもてなされてます。

パーティーでも当然のようにこき使われ、インディアンの格好をさせられ、夫人にはあからさまに匂いを嫌がられます。

そして終盤、パーティーに乱入してきて暴れたグンセに対しても同じように鼻をおさえ、”匂い”に顔をしかめるパク社長をみたとき、キムは自分たち貧困層のぬぐえない貧しさを突きつけられるとともに、その匂いを受け付けようとしないパク社長から貧困層への差別を感じ取ったのかもしれません。

また子供たちのそばで”匂い”について言われたことも影響しているかもしれません。ひたすらに自尊心を傷つけられ、そしてついにパク社長を刺すという行動にでてしまった。富豪層がもつ貧困層への無意識的な差別を描写しているように感じました。

ただ、貧困層である元家政婦・ムングァンについてはパク家の人たちが”匂い”を感じているような場面はありませんでした。長く接しているとそういった溝を跳び越えて新たな関係を築くことができるということなんでしょうか…

ギウが大切にしていた”石”は何を示すのか

続いては序盤にギウがミニョクからもらった石について、です。この石は富をもたらすといわれている山水景石。石をもらうと同時にギウは家庭教師の職も得て、そこから家族全員を就職させることにも成功し、文字通り富をもたらしたように見えます。

ただ、この石は後半では凶器として扱われます。ギウは石によって地下の2人を殺害しようとし、逆に返り討ちにあい石で頭を殴られてしまいます。

そして最後では、ギウが「勉強してお金を貸せいてあの家を買う」と決意して石を捨てるシーンが映し出されます。

映画を通じて大事なシーンで出てくる”石”。ギウは「この石が僕にへばりついて離れない」ともつぶやいています。ではこの石は何を表しているのか。

すこし抽象的ではありますが、「他力」を示していると思ってます。自分の力ではない、運なども含めた他力です。

そもそもこの石はお金持ちの友人からもらったもので、そこから考えたギウの計画はパク家をだまして家族全員を就職させ、パク家に寄生するというものでした。この計画の根幹はパク家という他力への依存です。

また、最後に自分で頑張って自分の力であの家を買うと決心したギウは、他力に頼らないという意味で石を手放しているように感じます。

地下の夫婦の存在によって崩れ始めた計画に対してギウは責任を感じ、夫婦を殺害しようとします。が、そのとき凶器に他力の象徴であるあの石を利用しようとしたことが失敗を暗示しているようにも思えます。

序盤にこの石をあっさりと手放した金持ちのミニョクと、最後まで石を手元に置き、結局はその石によって大怪我を負ったギウ。

他力になど頼らずとも自分の力(あるいは自分の家が持つお金の力)で生きていける富豪層と、たとえ実力があっても上に行くためには他力に頼らざるを得ない貧困層という関係を、この石をつかって映し出していると感じました。

この状況は映画の終わり方にも関係してきます。

ラストは何を意味するか

物語の最後では、ギウがギテクからのモールス信号をよみとり、勉強してあの家を買えるくらいお金を稼ぐと決心します。そして実際にそれが実現したかのようなシーンの後、一転して半地下で暮らすギウが映し出されて物語は終わります。

一気に現実に引き戻すようなこの演出は、おそらくギウが思い描いている「家を買う」ことは実現しないんだろうな、とこちら側に思わせる効果がありますね。

現実はそれほど甘くないというような終わり方ですが、”石”のくだりと組み合わせてみると「石を捨ててもあの家を手に入れられない」=「自力で勉強し、頑張っても貧困層は富豪層になることができない」という非常に厳しい現実が浮かび上がってきます。

でも韓国ではそれほどまでに貧富の差が広がっているのかもしれませんし、規模はどうであれこの状況はどこの国にもある程度あてはまることですよね。いくら賢くても、大学に行くお金がなければ簡単には大学進学はできません。そういう生まれながらの差という目を背けがちなところに最後で焦点を当てているように感じました。

それを伝えるために物語に他力を象徴する”石”を登場させ、捨てさせることでギウの決意の固さを表現したようにも思えます。捨てさせる前提での”石”の使い方だったのかもしれません。

”計画”は成功するのか?

この映画の中で貧富の差の他に、もう1つちょこちょこと出てきたのが”計画”に対する考え方ですね!

映画の中では、「計画は失敗する」のが原則となっています。ギウはいくつか計画をたてますが、(最後の「お金を稼いで家を買う」のも計画です)予測できない事態がおきて失敗してしまいます。

それに対してギテクは「絶対に失敗しない計画は無計画だ」と言っています。計画を立てなければそもそも予想外の事態など存在せず、失敗も何もないということです。

まあ人によって色んな意見があると思いますが、個人的にはこの考えは盲点でした。僕も結構きっちり計画をたてたい人間で、確かに思ってもなかったことが起きたりすると失敗した!と思っちゃいます。

そうなるとちょっと立ち止まっちゃうんですよね。どうしよう…って停止してしまうというか。まあネガティブ人間な僕だけかもしれませんが( ゚∀゚)笑

そういう人間にとっては、「失敗」という考えがなくなるのはすごい楽です。

だからといって計画を全く立てずに、ということにはなりませんが、計画通りにいかなかったときにこの考えを知っとけばダメージが軽減される気がします( ´ ▽ ` )ノ

まとめ

今回は『パラサイト~半地下の家族~』について感想と考察をしていきました!

やはり最大のテーマである”貧富の差”、これをか~なり深いところまでシビアに描いた映画だと思います。個人的にはうまくいきすぎない映画が好きなので、最後の終わり方ふくめいい映画だと思いました!

”貧富の差”については上に考察した通りで、基本お金持ちは貧乏人の存在を気にしない、潜在的に差別しているような描かれ方をしています。

ただ、1つそのルールに反している場面があります。

それはダヘが重傷を負ったギウを背負って助けるところ。

ダヘにとってはギウは家庭教師であり恋人であり、また貧困層の人間だということを知らなかったというのは確かにあります。

が、同じく家庭教師を演じていたギジョンが刺されたときにはパク社長や周りの富豪層は全く助けるそぶりを見せませんでした。

そう考えると、ダヘがギウを救ったというのは大事なことだと思います。金持ちは貧乏人を気にしないという原則に対して、希望の見える例外を1つ最後に見せてくれるところもこの映画の素晴らしいところですね!

こうやって考えてると、もう1回見直したくなってきます笑。テーマを考えながら観るのもいいですが、シンプルに映画としても面白いし俳優さんたちの演技も見事です!

父ギテク役のソン・ガンホや妹役のパク・ソダムは国際的にも非常に高い評価を受けている俳優、女優。またグンセを演じているパク・ミョンフンの狂気が混じった演技もすごかったですね(´∀`)

監督であるポン・ジュノの作品は前から気になってはいたんですが、実際に観たのはこの『パラサイト』が初。ちょっと興味が増してきたので『殺人の追憶』『グエムル』なども見てみたいと思います(`・ω´・)ノ”

いじょう、そらめまめでした~

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