必ずつまずく慣性力を京大生が極限まで分かりやすく考えてみた

はい、今回は物理で頻出であり難易度も高い問題が多い”慣性の法則”、そして”慣性力”・”見かけの重力”を考えていきます!

この分野、個人的にかなり苦手でした。ちょっと気を抜くと何がどうだかわかんなくなるし、二次試験レベルになるとだいたいの力学で絡んでくる厄介なやつです( ^ω^ )

ただ逆にいえば、この分野をマスターしとけば点数も取れるし差もつけれるってこと。そして問題への視点が増えるので楽な解き方も見つけられる。

慣性の法則を制すものは力学を制す

と誰かが言ってたかもしれません。

今回の記事では僕自身の復習もかねてひたすら分かりやすく”慣性の法則”の基本をみていきたいとおもいます(´∀`)

ではいつもどおり確認からいきましょ~

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慣性の法則とは

”物体は外力を受けない限り、静止または等速度運動を続ける!”

よくある説明はこんな感じでしょうか。ニュートンの運動法則の~とかは置いときましょう。外力ってのは簡単にいえば外から加わる力で、記号でいうとfがよく使われますね。

つまり慣性の法則ってのは

f=ma

っていう超有名な運動方程式でf=0を代入したものって考えましょう。

左辺が0なので右辺も0、つまり加速度a=0になります。

加速度0ってことは止まってる物体は速度そのまま、つまり0ですし、動いてる物体は速度そのままで動き続けますよね。

式でいうとこんな簡単なことなんです。

ただこれを実際の例で考え始めるとややこしい( ´ー`)

エレベーターが~とか電車が動くと~とか。

何がややこしくしてるかって、この外力が実際の生活ではバンバンあるからなんですよね。地球上では常に”重力”っていう外力がはたらいてるし、特に問題では無視されがちな空気抵抗などの摩擦力も外力。

だから僕はこの日常の例えがうまくイメージできませんでした。「慣性の法則があるから物体は動き続けようとする!」って説明されても、なんかしっくりこなかったんですよね~

とまあそんな風に考えてたら突然出てくるのが

”見かけの力”

ですよ(* ゚Д゚)

この見かけの力を理解してイメージして使いこなせるようになると、慣性の法則、それを含めた問題もあら簡単。もうカモン慣性状態になります。

では見かけの力とはなに?って話です。

見かけの力=慣性力とは

慣性力、見かけの力。名前からすでにイメージしにくいですね。この力が必要となるのは「物体をどこからみるか」を考えると分かってきます。

だいたいの問題では何かしらの物体が動いてますよね。では、その動きの見方として下の2種類を考えてみましょう

  • 動いている物体を外からみている人
  • 動いている物体に乗ってる人

よくある電車の例でいえば、

動いてる電車を外から見てる人

動いてる電車に乗ってる人

となります。

円運動してるふりこなら、

ぐるぐる回ってる振り子を外から見てる人と

回ってる振り子に乗ってる人

がいますね。

もちろんこの人たちが見ているのは「振り子が回っている」同じ現象です。しかし、どこからみたかで動きの説明の仕方が変わってくるんですね。特に一緒に動いてる人は難しい。

客観的にみるとすぐわかるのに、主観的なことって難しくてよく分からないもんです。慣性力って深いですね。

とりあえず考えやすい、「外から見てる人」の視点で考えてみましょう!

電車の例に飽きてる人も多いと思うんで、ジェットコースターでいきましょう(何も変わらん)

外から見た視点=慣性系

ジェットコースターの加速といえば、富士急のドドンパですよね。その加速力はすさまじく、スタート1.56秒で時速180㎞に到達するとか。慣性力を考えるにはもってこいなのでこのえげつない加速をみせるジェットコースターをまずは外からみてみましょう。

外から見ると、当たり前ですがジェットコースターは加速していく運動をしてますよね。それに乗ってる人たちも一緒のスピードで動いてます。もしスピードに乗れなかったら落ちますからね。大変です。

今回は乗ってる人を簡単に書くためにおもりで表してみました。

もしこんな乗り方したらすっごく怒られると思うのでやめましょう。

さて、直感的に重りが左に引っ張られてる絵をかきましたし、読んでいるあなたもそのイメージをしたと思います。が、ここを少し深堀りしときましょう。

これがいわゆる慣性の法則ってやつです。「重りはその場に静止していたから、静止を続けようとする」と説明される現象。

でもですね、もっと単純に考えてもいいと思うんです。これって要は外力が働いた結果です。

ここでいうと、重りに働く外力は重力、そして糸による張力です。重力はいつも働いてるんでスルーして、重りは糸に引っ張られて加速度運動を開始しただけです。引っ張られる必要があるんで図のような状態になるわけです

めちゃめちゃ初期にあるようなこんな設定、

この糸を引く手の部分がジェットコースターになっただけ。引っ張ることで張力がかかり、物体に外力が働き、加速度運動が始まっていきます。糸がたるんでる間は張力は0なので重りは動かないけど、張力がかかり始めると加速していきますね

ジェットコースターの例の力をみれば、この水平方向に引っ張る力によって運動方程式が作られることがわかります

何となくジェットコースターの例のほうが分かりやすくないですか?笑

「外から見てる視点」はこれで以上なんです。簡単。

別に電車の中で考えなくても電車におもりをくっつけてる状況と同じ、もっといえば重りが何かに引っ張られてるのと同じってことです。僕的にはこっちのほうがイメージしやすい、特に外からみてる視点の場合(´∀`)

力学の基本的な考え方として、

「加速度がある=外力が働いている」

ってことは意識しときましょう。

さて、ではついでにこの糸を切ったらおもりはどんな動きをするか、「外から見てる人」から考察してみましょう

糸を切ると張力は0になりますね。ってことはおもりにかかるのは重力だけ。

では自由落下ですか?それとも斜めになってるからその方向に落ちる?

もっとシンプルに考えましょう。ジェットコースターで重りを引っ張ってるのと同じ状況のはずでしたよね。

このとき糸を切ったら重りはどうなりそうですか?

そう、重りは右方向に動いてたわけなんで、いわゆる初速度があります。

だから糸を切られると、この初速度で右に動いていくわけなんで、、

はい、水平投射的な動きになりますね(´∀`)

今回は進んでいきましたが、急ブレーキをふんで、、の場合も考え方は変わりません。そのときは加速度が左向きに働くことになるんで、今回とは逆になってくだけです。

ちなみに、今回のジェットコースターは「加速度」がありましたね。これがもし「等速直線運動」、つまり加速度が0だとおもりはどうなってるでしょう?

少し考えてみてください。

加速度が0ってことは外力が0(釣り合っている)ってことです。

つまり、ジェットコースターによって引っ張られる力もありません。なのでおもりも左右には動かず、単純に吊り下げられてるだけになります( ´ ▽ ` )ノ

一緒に動いている視点=非慣性系

続いては一緒に動く人の視点でみてみましょう。これを非慣性系っていいますが名前はどーでもいいです。この視点で考えたときに使うのが見かけの力、つまり慣性力ですね。

さて上の例を、今度は僕らもジェットコースターに乗った状態で考えてみましょう。

このとき、当然僕たちも同じ速度、加速度で動いてますね。僕らだけ遅かったり速かったりしたら恐ろしいです。

ってことは、僕らからみておもりは止まっていることになります。

分かりやすい例でいえば、車のミラーからぶら下がってるキーホルダーとか。電車のつり革もそう。動いてる車両にくっついてるんで当たり前ですが彼らも動いてます。でも同じ速度で僕らも動いてるので、止まってるように感じてるってことですね。

止まっているってことはどういうことか?

加速度が0ってことですね。つまり一緒に動いてる人からみれば、外力がつりあってる状態(=0)ってことです。この言い換えは常に意識しときましょう。

でも、「外から見てる視点」でやったように、おもりやらつり革やらは電車とかに”引っ張られている”はずですよね。つまり張力は存在してるはず。

*重力gってなってるけどmgですね、すみません*

これ以外には重力しか働いてないし、このままでは

「一緒に動いている視点」なので「おもりが止まっている」=「加速度が0」の状態

のはずなのに、

右向きへの外力を受けている=右向きの加速度が働いている

ことになってしまいます。

ややこしいですね~

「外から見てる視点」なら、”張力で引っ張られてジェットコースターと一緒に加速度運動してる!”でおっけー。

でもあえて「一緒に動く視点」から考えてるので、”おもりは止まってる!=外力つりあってる”状態に持っていきたいわけです

そこでいよいよ登場するのが、慣性力=見かけの力です。

もう張力とつりあう力をつくっちゃえ!ってことで、慣性力ってのを勝手に生み出しちゃう。天才の発想ですね。こんな風に実際には働いてない力だから見かけの力って言います。

右向きの張力とつりあってほしいから、この場合は左向きに慣性力を働かせます。

*同じくmgです、すみません*

さてさて、この慣性力の大きさはいくらでしょう?

この背景を考えればわかるはず。

そう、もとの目的は”ジェットコースターと同じ加速度で右向きに引っ張る張力とつりあわせる”こと。おもりの重さがmなら、この右向きの力は

f=ma

です。ってことは、これと釣り合う慣性力もmaで向きが逆ってことになりますね!

たまにエレベータでの人への力とかを考える問題もありますが、もちろん人にも慣性力を働かせます。わかりにくければ人をおもりとして、エレベータに乗って一緒に動いてる視点から考えると、、ってイメージしましょう。

エレベーターが上昇すると、それに引っ張られるカタチでおもりも上向きに引っ張られますね。これには張力が働いてます。外からみても、中からみても働いてる張力。

人の場合は糸で引っ張られるわけじゃないんで、接してる底面から力を受けるって考えればいいと思います

でも、エレベーターの中で一緒に上昇してる人からみると、おもりはずっと同じ場所にあります。同じ高さで変わらないですね。上向きの張力があるのにこれはまずい!

だから下向きの慣性力をつくって、釣り合わせる必要があるってわけです

こういう風に慣性力こみで考えるのが「一緒に動いている視点」の特徴です。

問題によっては視点が指定されてるときもありますが、個人的に慣性力こみの「一緒に動いてる視点」で解かせる問題が多い気がします。

慣性力を忘れないってのも大事ですが、もっと重要なのは「動いてる視点で解いてる」ことをちゃんと意識することですね。

最後に、もう少し慣性力を深掘りします。

これを使いこなせるとほんとに問題解くのが楽になる。それが

見かけの重力

です。

見かけの重力とは

重力ってのは地球に引っ張られる、下向きにかかる力です。これは地球上にある物体を考える以上、常に働いてる力。

で、慣性力ってのは、

「加速度aで一緒に動いてる視点」からみるなら、常に働いてる力

と考えられます。

例えば糸をきって張力がなくなっても慣性力は働いたまま。まさに重力のように、動く向きとは逆向きにmaの力を働かせるのがこの視点の特徴でした

じゃあ常に働く重力と慣性力を一緒にして考えてもいいんちゃう?

ってことで生まれたのが”見かけの重力”という考え方。

ジェットコースターの例なら、左向きの慣性力と下向きの重力を合わせたのが見かけの重力となります。

すると外力はつりあってるわけなので、張力はこの”見かけの重力”につりあう向き・大きさに働くことになる!!

大きさは慣性力maと重力mgの合力。そこから見かけの重力加速度g’もわかります

普通の世界で糸でおもりを吊り下げてるのがちょっと斜めになってる感じですね(`・ω´・)ノ”

つまり、「一緒に動いてる視点」=「慣性力がある視点」とは

”見かけの重力”の世界

ということ。

通常では下向きに重力加速度gが働いています。が、「一緒に動いている視点」ではその重力の代わりに、慣性力と重力の合力である「見かけの重力」が働いている世界で物体が動いてると考えればいいってことです。

なんかパラレルワールドみたいでかっこいいですね。

さて、物体は重力によって自由落下しますよね。ジェットコースターに乗ってる人からみると、”見かけの重力”の世界で同じことが起こります。だからおもりの糸をきると、見かけの重力で自由落下します。

図にするとこうですね

ってことで斜めにまっすぐ落ちるように見えます。やっぱり「外からみてる人」とは違う見え方をしますね~

でさらにすごいのが、例えば落下速度や時間の公式も”見かけの重力”の世界で同様に使えること。

具体的にいえば、公式で使う加速度の部分、自由落下なら通常は重力加速度gのところを”見かけの重力加速度”g’にしてあげるだけ。

このg’の大きさの導出は上でやったので、まあ簡単に色々と計算できます。

ちなみにこのとき引っかかりやすいのが「落ちる距離」

さて、一緒に動いてる視点から地面に到達する時間を求めたいとき、使う距離はAとBどっちでしょう?

”見かけの重力”の世界で考えてくださいね~

Aは見かけの重力の向きでの延長した距離、Bはシンプルな高さです。

はい、正解はAです。この方向に重力加速度がはたらくわけなので、斜めですがこの距離を使います。

通常なら下方向に重力加速度がはたらいてるから、Bの高さを使いますよね。ここまで読んできたならわかると思いますが、”見かけの重力”の世界でも「同様」に、重力加速度がはたらいている方向での距離をみましょう!

余裕がある人は、「外から見た場合」=通常で、糸を切った場合の地面への到達時間と、「中から見た場合」の到達時間をそれぞれ計算してみて、等しいかどうか確認しましょう。おもりが傾いてる角度をθ、高さをhにしてみればすぐできます。

斜めに落ちるっていうよりも、見かけの重力がはたらいている方向に落ちるって捉えてください( ´ ▽ ` )ノ

もちろん斜め方向じゃなくても、エレベータなら鉛直方向で見かけの重力がかかります。大きさが変わってくるので例えば体重を計る問題とかが出てきたりしますね~

まとめ

はい、今回は慣性の法則から始まって慣性力、見かけの重力をみていきました~

けっこう長くなりましたが、慣性力や見かけの重力ってのはようは視点の問題で、分かりやすいように勝手に作っちゃったものだってことをまず感じてほしいです(´∀`)

静止させるために慣性力がある、ってイメージすればどの向きにどの大きさで働くのか分かると思いますし、その慣性力と重力の合力である”見かけの重力”も簡単に導出できるはず。

あとは演習でひたすら慣れましょう!

とくに見かけの重力に関しては、問題を実際にとくことで使い方が分かってきます。

公式での重力加速度gを、見かけの重力加速度g’に変えるだけ。言葉でいうと簡単ですが、解いてみると多分最初はつまづくと思うので、この基礎を思い出しつつトレーニングしてみてください。

参考書でいうと良問の風とか、二次試験レベルなら名問の森なんかがおすすめです。慣れれば点が取れる分野なので、差をつけるためにも頑張っていきましょー(´∀`)

いじょうそらまめでした