ベーシックインカムとは?財源や現状って実際どうなの?

2020年4月、”コロナショック”への対策として打ち出された「10万円の一律給付」。この動きに応じて”ベーシックインカム(BI)”という言葉が注目を集めています。

簡単に言えば「全員に最低限生活できるくらいのお金を毎月給付する」というのがBIの方針になります。なかなかびっくりするような案ですが、この制度には色んな意図が含まれていて、とくにAIが台頭してきている今の社会ではかなり重要な考え方となってます(`・ω´・)ノ”

もちろん長所もあれば課題もあり、また実験的に導入されたりもしている”ベーシックインカム”、今回はこの制度についてみていきたいと思います!

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ベーシックインカムとは

さきほども言ったように、簡単にいえば「国民の最低限の生活を保障するために、1人1人に政府が現金を支給する」政策です。

支給額は月額5~10万円程度と想定されていて、ポイントになるのが1人1人に、そして無条件に現金が給付される点です。

最低限の生活保障というのは現在も行われていて、公的補助や社会保険による社会保障がそれにあたります。生活保護であったり、年金や雇用・失業保険のことですね。

しかし例えば年金は保険料を一定期間払わないと将来給付されなかったり、困窮しているけど生活保護をうけることができない層が存在したり、と、れらの生活保障は対象者が限定されています。

BIではそういった保険料も必要なく、また自身の所得にも関係なくみんなに現金を給付することが約束されていて(コロナ対策の10万円給付のような感じ)、そこが大きな特徴となっています!仕事がなくても、逆に超高給な仕事に就いてても、払われる額は同じってことです。

いろんなバリエーションはあるものの、現在の社会保障を取っ払ってBIに置き換えてしまうというのが一般的な政策案です。

つまり、いま受けている・もしくは受ける予定の社会保障をぜんぶまとめて一律に配っちゃうよ、というのがBIの基本的な方針となります。

AIとベーシックインカムの関係

ではなぜこのBIが注目されているのか。それにはAIの発展がすごく大きく影響してます。

「10年後には仕事が半分になっている」みたいなことを聞いたことありません?

ようはAIがどんどん発展して、ロボットが仕事をするようになるってことです。ほんとうに半分になるのかは分かりませんが、現に中国ではAIアナウンサーが活躍してたりします。

もし人間と変わらない、もしくはそれ以上の精度で仕事ができて、人件費より安く済むなら企業としてはロボットを採用したほうがメリットがあるのはたしかです。

感情論では人間を信頼したいですが、話題の自動運転なんかも事故率は格段に下がっているし、試走中の事故もどちらかというと同乗していた人間のほうに原因があったのだとか。

AIが仕事をするようになると、当然人間は仕事を失って給料ももらえなくなります。しかもその人数は膨大なものになるかもしれない。

そんな状況、じつはBIによってプラスに捉えることができるかもしれません。

AIは計算やデータ管理など、処理能力をつかう仕事がめちゃめちゃ得意です。その反面、たとえば芸術家など独創的・創作的な能力が必要な仕事は苦手。さらなる技術革新といったクリエイティブなことも人間にしかできないことです。

最低限の生活が保障されていれば、生存のための労働は必要なくなります。そのぶん使える時間が多くなり、こういったクリエイティブな分野をさらに発展させれる可能性があります。

また、BIを導入することで「AIにより仕事を奪われる」ことが「AIにより仕事から解放される」ことへと変化します。最低限のお金が給付されるので、賃金に関係なく自分がやりたいこと・楽しいことをベースに仕事を選択することが可能になるんです!

もちろんお金がほしいなら高給の仕事を目指せばいいですし、逆に余暇への時間がほしいならほぼ働かないという選択もできるわけですね。BIでは一律給付されるのは生活に最低限必要な金額のみで、そこに加わる所得は今と同じく個人の努力で変わってくる、というのも特徴です。

つまりAIの発展とBIはすごく相性がいいというか、BIの導入によってAIを最大限に活かすことができるのでは、と期待されているといえます!

BIによるメリット

ではBIによってできることは何でしょうか。上で話したように、BIの大きな特徴は

・無条件の給付

・1人1人への給付

です。

財源が課題なのは明らかですが、とりあえず導入したらどんなメリットがありそうなのかをみてみます。上の特徴だけ見ると社会主義っぽいですが、BIは自由市主義を前提としていることを考えると色んなメリットが見えてきます!

仕事に対する選択肢が増える

AIとの関係のところでも話しましたが、最低限の収入が約束していることから色んな生き方、仕事への取り組み方を選べるようになることが予想できます。

哲学者のヴァン・パリースさん(BIの提唱者)がいうには、

「BI導入下において、より多く働くものは自身の意志でそうしているのであり、金銭に相対的価値を、より少なく働くものは逆に時間に相対的価値を置いていると考えられる」

らしいです。

より多く働くものを”crazy(働き者)”、より少なく働くものを”lazy(怠け者)”、その中間を”hazy(どっちつかず)”とすれば、現在は働ける人はcrazyになることを強制されているとも主張しています。日本なんて諸外国と比べるとかなりヤバいってのはよく聞く話です。

でもBIを導入すれば、crazyな生き方もlazyな生き方も、hazyな生き方も選ぶことが出来るようになります。取り組み方の自由度がふえるわけです。

また、仕事への価値観も大きく変わってくるでしょう。今の社会は「金が稼げるか稼げないか」が仕事の大きな判断基準になってるのは間違いありません。生活がかかってるから当たり前です。

ですがBIによりその生活が保障されれば、「自分が好きだから、楽しいから」「拘束時間が少ないから」という理由で仕事を選ぶのもできるようになってきます。もちろん仕事をすればBIにプラスしてお給料ももらえます。

純粋にその仕事が好きな人、もしくはバリバリ仕事して稼ぎたい人が多くなれば労働意欲も上がるし、適材適所ということもあり生産力も上がるかもしれません。

職業の選択肢も増える

上と同じような話ですが、お金を気にする必要がなければ選択する職業の幅も広がります。とくに芸術関係の仕事に顕著ですが、ほんとに一握りの人たちしか稼げない分野の職業ってけっこうありますよね。

生活の保障というバックアップがあれば、そんな職業にも思い切って挑戦することが出来るでしょう。そうなれば、その分野の発展も見込めます。

また娯楽や余暇にかける時間も多くなるぶん、そこから派生して新たな職業が誕生するかもしれません。自分がやりたいことを職業にして生きていく、という今だと鼻で笑われそうな言葉が当たり前になるとおもしろいですね( ´ ▽ ` )ノ

行政コストの削減

現在行われている年金や生活保護といった社会保障制度が一元化されれば、そのぶん運用コストは削減されます。BIだけを運用すればいいことになるからですね。

また運用コストが減るのと同時に、今まで社会保障に使われていた財源をそのままBIの財源に置き換えることも出来るので財源問題もうまくいくんじゃないか、という意見もあります。

他に考えれるメリットとしては、BIを導入することで困窮状態の人々を救える(救貧)かつこのままでは困窮状態に陥ってしまう人々を助けれる(防貧)という貧困対策もあります。

今の社会では生活保護を受けられない貧困層(ワーキングプア)が生まれています。が、BIがあればそういった問題も解決することができますね。

また生活保護の場合、所得を調べる”資金調査”というものが必要になります。この調査を避けるために生活保護申請をしない人もいますが、BIならば無条件給付なので届け出る必要がなくなります。

1人1人への給付なので、世帯単位の収入を増やすために子どもを増やす、少子化対策にもなるのではという意見もありますが、子供がふえればそのぶん支出も増えるのでこれは分かりません(-∀-)

BI導入への課題

なんでもそうですが、メリットだけみるとすごい魅力的です(´∀`)

でも残念ながら大きな課題があるためなかなかBI導入には難しさがあります。

上でもいったように、課題としてよく挙げられるのが財源、そして社会主義よりの取り組みなので労働意欲の減少も心配されています。また給付額の設定も難しい問題です。

ということで次はBI導入への課題をみていきましょう!

財源をどうやって確保するか

さきほど少し話しましたが、現在行われている社会保障のお金を(医療保険を除いて)すべてBIにまわせば月額5万円程度の給付は可能なようです。(https://ja.wikipedia.org/wiki/ベーシックインカム#財源案を参照)

ただしこの社会保障というのは、国や地方自治体にくわえて国民の保険料でまかなっているものです。将来年金をもらおうと思ったら毎月お金を払わないといけなかったりしますよね~

つまりこういう保険料も含めた、現在の社会保障のお金をBIにつかって月額5万円程度、ということなので、BIを導入し社会保障をなくしたなら最低でもその保険料のぶんはどこかで確保しないといけません。

その財源となるのは、一番可能性があるのは税収です。とくに所得税消費税ですね。

所得税アップへの課題

では所得税からこの財源をまかなおうとするとどうなるでしょう。

日本では、所得税は”累進課税”というもので、お金をたくさん持ってる人はより多くの税金を払ってもらうという制度になってます。その税率は年収によって変化し、現在では5%~45%へと段階的にあがっていく形です。

わりと公平な気もしますし、問題なさそうにおもいます(´∀`)

が、この最高税率がどんどん上がっていくなら、もし自分がけっこうお金を稼ぐ立場だとするとあまりいい気はしませんよね。稼げば稼ぐだけ税金が増えていくわけですし…

しかもBIの場合、社会保険とは違ってその税金は”みんなの最低限の生活を保障”するために使われるわけで、言い方が悪いですがろくに働いてないプータローの生活のために税金を払ってるとも受け取れます。

となると当然反対の声が上がるでしょうし、お金を持ってる人は権力ももってるので大変です。お金を稼ごうという意欲もなくなり、労働意欲の減少にもつながるかもしれません。

一方、この所得税自体を”比例課税”、つまり全員同じ税率にするという思い切った意見もあります。いまの消費税のような感じですね。

BIを導入すれば”最低限の所得”は確保され、その時点で所得の再分配はある程度実現できている。だったらそこからプラスされていく所得をさらに再分配する必要はない、という意見です。

個人的には理にかなってる気はします。働けば働くほど確実に収入は増えますし。

ただ問題となるのはそのときの税率ですよね。ある試算によると50%をこえる可能性もある(『社会保障としてのベーシックインカム』参照)らしく…キビシイですね(´・ω・`)

また高齢化が進んでいる中では、高齢者からは安定した税収をみこめない所得税は適切ではないという声もあります。

消費税アップへの課題

消費税は”比例課税”のため、みんな同じ税率がかかります。そのため所得が低い人への負担が大きくなってしまうという”逆進性”の問題もたびたび指摘されてますね。

この消費税を増税するのはいつでも反対されます。消費が落ち込んで景気が悪くなる悪影響もあるかもしれません。でも国際的にみてみると、実はヨーロッパでは20%をこえる国が大半なんですね~。

ただこれにはからくりがあり、標準税率は20%をこえていても生活必需品や医療品には5%にして税率に差をつけることで国民の生活をカバーしてます。

日本ではこの取り組みはまだ行われてません。が、もしBI導入を目指して消費税をあげるとするればこの方法を採用することである程度”逆進性”は克服できるかもしれません。

また日本には”たばこ税”ってのがありますが、ハンガリーでは”ポテトチップス税”ってのもあります。こういった健康と関係する税金ってのもじみーに増やしていくことで財源確保につながる可能性もあります

ところで、この財源の1つとして税金以外に使えるものもあります。さきほどメリットで出てきた、削減できる行政コストです!

現在いくつもある社会保障、この現金給付にかかる費用というのをBI導入で削減できるのでその分をBIの予算にまわすことができます。

もちろんそれだけではカバーできないので、BIを実施することになれば何らかの増税はついてくると思います。所得税、消費税、もしくは他の税率が上がるにしろ、大きくシステムが変わることは間違いなさそうです。

給付費をどう設定するか

財源にもかかわってくる話ですが、どれくらいの額を支給するのかというのも大きな問題です。

最低限の生活ができる所得の基準というのはむずかしいですよね。おそらく目安となるのは、いま生活保護の給付のさいに使われている、厚生労働省による”最低生活費”です。

しかしこれは生活保護でもそうなってるように、地方や世帯によってばらつきがあります。そのため「これで誰でも生活できる」という金額設定はなかなかやりづらそうです。

地方によって給付額を変える、という手もありますが、BI制度へ払っている税金は同じなのに住んでる場所が違うから金額が少ない、なんて納得いかないですよね~。やっぱり万人が納得するような金額設定は厳しいのかもしれません。

労働意欲の減少

これも何となくイメージがつくと思いますが、最低の所得が出るなら一生懸命働く必要ないじゃんってなっちゃう問題ですね~

実際に似たようなことをした社会主義では労働意欲が減少し、技術発展がかなり遅れたという歴史もあります。

また、給料を最低賃金ギリギリに設定する企業もふえることが予想されます。従業員はもう最低限の所得をもってるわけですからね。そうなるとさらに労働への意欲は失われる可能性もあります。

ただ、メリットでも話したんですがこの点については意見が分かれています。BIによって仕事・職業の選択の自由がうまれるため、逆に労働意欲は上がるはずだ、という考えもできるということです。

加えて、おそらくBIが本格的に導入されるときにはAIもかなり発展していることでしょうし、AIとの関係の部分でもあったように、仕事は基本的にAIがこなしていることも考えられます。

そうなれば労働意欲もなにも、人間が仕事をしなくても社会がある程度まわっていくのでこの問題は解決するかもしれません。

働けば働くほどお金は手に入り、もちろんお金があればいいサービスも受けれるという点は今と変わりませんし、個人的にはこの課題についてはわりと何とかなるんじゃないかって考えてます(´∀`)

また在日外国人や外国籍者への給付はどうするのかという問題もあります。もし日本国籍に限定しなかったら移民が殺到する可能性もありますし、逆に限定すると外国籍の人には納税義務のみが残ってしまい何の恩恵もない制度になります。

いざBIを導入するとなれば、国内の経済状態や労働状態はもちろんですが他国との連携も重要になってきそうですね。

ベーシックインカム導入の実験例

最後にBIの現状についてです。

2020年4月時点では、BIを取り入れている国は存在していません。が、いくつかの国や地域で実験的に導入されている事例はあります。

フィンランドでは失業手当受給者からランダムで2000人を選び、月額7万円を給付するというBIを2年間実施しました。失業手当とほぼ同額ですが、失業手当の場合は職を探しているという条件があり、収入があるとそのぶん減額されるという点でBIとは大きく異なります。

そしていざ給付しなかった集団と比べてみると、雇用やそれによる所得には多少の違いがあったもののほとんど変わらず、という結果だったそう。

月額7万円とはいえ、「誰も働かなくなる」ということは起こらなかった点は重要な結果ですね!またストレスや他社への信頼という幸福度についてはBI対象者の方が高かったという結果もでており、興味深い結果といえます。

そしてオランダのユトレヒトという都市でも社会実験が始まっています。こちらは300人を対象に月額12万円程度、無条件で支給したり、ある条件や規則のもと支給したりといくつかのグループに分けて行われています。

金額的にもBI制度の理論にもっとも近い実験なので、この結果はかなり参考になるでしょうし注目度も高い実験です(´∀`)

他にはカリフォルニア州やケニアでもBIに近い制度が実験的に導入されてます。

ちなみに古いものでは、1974年~1979年にかけてカナダで行われた「Mincom」と呼ばれた実験があります。

こちらは残念ながら適切な結果が出る前に政権交代により終了してしまいました。が、そのデータがまとめられ2011年に報告書が出されました。それによれば精神的な病気を含めて入院期間が大幅に減少したこと、また高校への進学率が上がったことが明らかになってます。

実験段階では「全員に無条件で」というBIを導入させるのはやはり予算的にもきびしいものがありそうですね~。実際にフィンランドの実験も財源の問題から予定よりはやく終了してますし、新たにカナダで始まりそうだった大規模な社会実験もその費用から中止されました。

もし国家で導入、となった場合には実験との規模の違いから新たな課題が生まれることは間違いありませんし、BI実現にはまだまだ道が長そうです…

まとめ

今回は注目をあびつつあるベーシックインカムという制度について、その特徴や現状などを詳しく見ていきました!

導入によってうまれるメリットはたくさんあるんですが、その導入自体にはやはり財源を中心とした課題があります。また「国民全員に最低限の現金を給付する!」という思い切った意見ゆえに、現実味がないとばっさり却下されている面もある気がします。

でも歴史をみても、そういった当時ではありえない・考えられない意見を提唱し実行した人たちがいるおかげで今の社会がありますし、将来的には確実にBIは導入されていると思ってます。

というより、AIの発展により導入せざるをえなくなってるというのが適切かもしれません。どうなるにせよ、現在行われている社会実験の結果は気になるところですね(´∀`)

また今までの結果から、BIは意外と精神面をケアする働きをもってることも分かります。その点でもこれからの社会ではますます必要になる制度かもしれません。

もしBIが導入されたらあならならどんな生活を選択するか、考えておくのもいいかもしれません(`・ω´・)ノ”

いじょう、そらめまめでした~

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